2025年7月、群馬県高崎市のGメッセ群馬4階に新設オープンした「TUMO Gunma」は、12歳から18歳までの中高生を対象に最先端のデジタル技術を無償で提供するアルメニアが誇る世界的な教育施設です。今回、アジア初となるTUMO Gunmaに訪問、また施設マネジャーの清水氏へ個別インタビューをさせて頂きました。TUMO及びアジア初となるTUMO Gunmaについて、また清水氏の考えるアルメニア企業との協業メリットについてシェアいたします。
アルメニア発、世界が注目する教育モデル
TUMOは、同国の若者の才能を伸ばす機会を提供することを目的として、2011年にアルメニアの首都エレバンに創設されました。アルメニアは、古くからハイテク技術産業が高度に発達しており、かつては「旧ソ連のシリコンバレー」と呼ばれるほどにDNAとして高い競争優位性を有しています。TUMOでは、12歳から18歳の若者を対象とする無償のデジタルクリエイティブ教育機関として、現在はテクノロジーとデザインが交差する革新的な教育プログラムとして、世界的な注目を集めています。
同機関のカリキュラムは、3Dモデリング、ゲーム開発、アニメーション、プログラミング、映像制作など14の専門分野で構成されています。学習の基本は、全体の60パーセントを占めるオンラインでの自学習(セルフラーニング)であり、それに加えて専門のスタッフによるワークショップや、各業界の第一線で活躍する専門家を招いた実践的なプロジェクトラボが組み合わされています。生徒自身のペースで学習を進め、制作した作品群がそのまま個人のポートフォリオとなる仕組みが採用されています。
米国、フランスはじめ全世界10万人以上が利用
現在、TUMOの教育拠点はアルメニア国内にとどまらず、パリ、ベルリン、チューリッヒ、ロサンゼルスなど世界10都市以上に展開されています。これまでに全世界で10万人以上の若者が受講し、毎週3万5000人の学生が施設を利用するなど、その規模は拡大を続けています。
教育分野のノーベル賞であるWISE賞を受賞
また、AIを単なるツールとしてではなく、学習のパートナーとして活用する独自の教育手法が国際的に高く評価されています。この取り組みにより、教育分野のノーベル賞とも称されるカタール財団主催の「WISE賞(世界イノベーションサミット教育賞)」において、2024-2025年の最優秀賞を受賞しました。群馬県に開設されたアジア初の拠点「TUMO Gunma」も、この世界的に評価された教育モデルとネットワークを基盤としています。
アジア初のTUMO拠点 TUMO Gumna
アジア初の拠点となるTUMO群馬では、3Dモデリング、ゲーム開発、アニメーションなど将来のクリエイティブ産業に直結する8つの専門分野の教育サービスが提供されています。また、運営を率いるセンターマネジャーの清水義教氏は、米国ハーバード大学大学院などで国際教育政策を修めた国際人材育成の専門家です。

TUMO群馬の施設のエントランスは「ジャパンブルー」を基調とした洗練されたデザインで統一。約1500平方メートルの広大なフロアには160台以上のパソコンが配置され、一般的な学校に見られるような、机と椅子が同一方向に並ぶ教室の風景はありません。代わりに、階段状のベンチシートや波打つ床面のボックス席などが設けられており、利用者が自由な姿勢で学習できる環境が整えられています。

特に、象徴的なのはパノラマエリアに配置されている机と椅子が一体化し車輪によって自在に移動できる「TUMOBILE(ツーモビル)」。生徒たちは窓から赤城山を一望できる場所など、自身の集中できるスペースを選んで作業を進めています。

施設の通路には幅21メートルの巨大なデジタルサイネージが設置されており、ここには今後、生徒たちの制作した作品が投影されています。

TUMO群馬の運営時間は、平日が18時30から20時30まで、土日は14時から16時、16時30から18時30の二部制になっています。平日夕方は地元・周辺地域の子どもたちが部活後に来館しやすいよう、土日は遠方からの来館者にも対応できるよう設計されています。開所以降、施設の登録者数は700名を超え、2026年1月には延べ利用者数が1万人を突破するなど、県内の中高生に広く浸透し順調な稼働を見せています。
TUMO群馬 清水氏が考える日本企業がアルメニア企業と協業するメリット
施設案内の後、TUMO群馬の施設マネジャーである清水氏に個別インタビューさせて頂き、日本企業がアルメニア企業と協業するメリットについて伺いました。
① 欧米水準の技術力を、アジア的な柔軟性で享受できること
清水氏がまず強調したのは、アルメニア人材が持つ「高い技術力」と「文化的な相性」という二つの価値が同時に成立している稀有さです。技術力については、アルメニアはかつて旧ソ連圏のシリコンバレーと呼ばれた土地柄で、IT人材の層が厚く、また欧米で活躍するユニコーン企業も輩出してきた実績を持つことからも明らかです。そして、日々アルメニア現地との協業を通じて清水氏が特に実感した点は、日本人に通ずる調和や空気を読む力を持ち合わせている点です。シリコンバレーで通用するエンジニアと同等のスキルを持ちながら、日本人にとって協業し易い柔軟性を兼ね備えているのは、世界を見渡してもアルメニア人くらいではないか、というのが清水氏は語ります。
② コスト面と「ニアショア」としての現実的優位
二つ目のメリットは、純粋なビジネス合理性であることを指摘しています。アルメニアの平均年収は日本よりも低い反面、品質面でシリコンバレーに大きく見劣りしない。日本企業が抱える慢性的なIT人材不足、とりわけ生成AI領域での即戦力人材確保という課題に対して、アルメニアは従来のオフショア以上の、高付加価値のある選択肢になり得ると指摘します。
③ 国家プロジェクトとしての信頼性と、文化的な親和性
最後に、国を挙げてIT・クリエイティブ人材を育成している事実です。アルメニアのTUMOは単なる教育機関ではなく、国家の総合計画に組み込まれ、世界中から一流の講師が集う国家プロジェクトとして運営されている点です。そこで育った人材が産業界に流れ込む構造が整っているため、日本企業から見れば「人材の質を国家が担保している」ことになる。加えて清水氏が現地を訪れて感じたのは、食文化や街の雰囲気、人々の親しみやすさといった、数字には現れない文化的な親和性の高さでした。アルメニア人は多くが英語に堪能で、ロシア語圏ともつながりを持ち、欧米にも中東にも橋渡しができる立ち位置にあります。日本企業にとっては、技術調達先という枠を超えて、海外展開そのもののハブとしてアルメニアを活用できる可能性があります。清水氏はそこに日本企業からみたアルメニア企業との協業優位性があると見ています。
終わりに
アルメニアのハイテク企業が有する技術優位性は、米国のシリコンバレーをはじめとする欧米諸国でも高く評価されています。日本でも今回の「TUMO Gunma」の開設を契機として、アルメニアの世界標準のハイテク技術や卓越したクリエイティビティにより多くの日本企業が注目することが想定されます。実際に、2025年4月に続き、2026年4月もアルメニア企業の優れたハイテク企業が出展しており、多くの日本企業がアルメニアがビジネスパートナーとして非常に有望であることを感じており、実際に協業事例も着々と増加しています。
生成AIの導入やDXの推進など、自社のビジネス課題の解決を目指す企業にとって、アルメニア企業との協業は極めて有効な選択肢となり得ます。本プロジェクトでも、日本企業とアルメニア企業のビジネスマッチング、最先端のハイテク技術を用いた課題解決を図りたい日本企業からの相談を随時受け付けています。お気軽にご連絡ください。
TUMO Gunma公式サイト:https://tumogunma.jp
群馬県サイト(TUMO関連):https://www.pref.gunma.jp/page/643539.html

